快挙

これまで何度も将棋大会に連れていき、そして開始1時間もせずに予選で負けて帰る。お弁当はもらうけど、その時間まではもたない。それを何度となく繰り返したけど、今日初めて、息子、予選を突破した。1勝したら突破というハードルの低さ、しかも相手は保育園児という幸運にも恵まれた。まあ運も実力のうちに今回はしてあげよう。保育園児にしたら、おっさん相手でえげつない不運だけど、次で勝っていたみたい。

決勝トーナメントでは秒殺されたらしく、またお弁当の時間前には終わったけど。

一歩一歩。めげることもなく続けて、大したもんだ。

興奮冷めやらぬ夜、相手になる。3戦連続でコテンパンにやられた。たしかに強くなっている。しかも、ぼくが相手にならなくて、面白くなさそうだ。勝ってうれしい、ではなくて、歯ごたえがないかんじ。

「よしもう寝よう、10時過ぎたし。何回やっても、父ちゃん勝てないよ」といっても、まだ物足りなくて、「えぇ〜」と不満気な顔をする。

仕方ないから、歯を磨きながらアンコールに応える。

「コテンパンにしてやるか。」とぼく。

本腰を入れてもう一戦することにする。

「油断しないようにしないとな。」と嬉しそうだ。

なんとか一矢報いて勝つ。

息子は負けて、嬉しそうであった。

「やっと本気の本気、出してくれたね」

「調子に乗らせちゃいかんからな」

「へへへ」

やっと満足してくれたようで、寝床にむかった。