ついにこのテーマで話をする時期がきた。
「パパ、ゾロって、イケメンやとおもう」
口をほころばせながら、うれしそうに話かけてくる。乙女の顔。
息子が夢中のワン・ピースで一緒に見て気になったのだろう。
「ゾロって、どれ?」
教えてもらうと、刀を二つもったヤカラであった。いろんな相手を切るらしい。夢は世界一の剣使いらしい。悪そうだ。EXILEナンチャラにいらっしゃりそうだ。ゾロを我が家につれてくることを想像すると背筋が寒くなる。
いや待てよ、むかし、レコード会社に出入りしていたとき、こういう方々を良く見た。昔、ヤンチャだったのだろうな、という感じの人ほど、マジメで筋を通して義理堅くて情に厚くて優しかった。
一方でマジメそうな顔をして、上に従順で、下にヘコヘコさせているうちに何が善で悪かいつのまにかわからなくなって、悪いことをしてしまう役人もいる。
人はみためじゃないし、長い人生、若い頃にヤンチャをする時期があったほうが人間として深みがでるのだ。だから、ゾロも長女が我が家に連れてくる頃はマジメな社会人になっている、と信じたい。
「のび太みたいなのが、パパは好きだけどな。優しいじゃん」
「のび太も好き。でもゾロのほうがイケメン」
ゾロと口にしたときの声の弾みが違う。のび太は異性としてみてないらしい。
「あと、ハムハムハリーもイケメンだと思う」
また新しいキャラが出てきた。「みんな、保育園でいってる。」
ひょっとこハム太郎みたいなものを想像していたが、検索したら赤い髪の細身の顔の小さい男であった。いかにも女子ウケしそうな端正な顔立ちである。
「顔が小さい男が、イケメンってこと?」
「顔小さい?」
「小さいやろ。のび太とどっちが顔大きいと思う?」
「・・・・」
「じゃあさ、ちびまる子ちゃんじゃ、だれがすき?」
「え?」
「ハマジとか?」
「え〜」
「どうせ、花輪やろ。」
「花輪ってだれ?」
「レディたち〜って言ってるあの髪長いサラサラのやつ」
「あぁ〜」
最初は拒絶したようなリアクションだったけど、しばらくしたから「花輪くん」と選んでいた。やはりか。
お年頃なのかもしれないが、ゾロにハムハムに花輪にベジータ、どれを連れてきても苦労しそうで頭がいたい。どいつも連れてくるころにはマジメになっている、のか。
まぁ、「スネ夫!」と即答されるよりはいい気もする。