22.5センチ

息子とスポーツ用品店に行く。義母から2,500円分の商品券をもらえたので、サッカーのボールとスパイクとユニフォームを買い換えるため。

10歳にもなると好みがちゃんと出て来るとおもって、あまり父が選ぶというのはやめようとおもったが、そうすると思いの外時間がかかった。「なんでもいいわ」というかとおもいきや、慎重に選ぼうとする。

子ども用のスパイクはたくさんの種類があって、ナイキやらアディダスなどなど。オレンジや蛍光色などいろんな派手な色のバリエーションがある。最近はサッカー選手も足元で自己主張するのかな。値段もマチマチ。

ひとまず、サイズは22.5センチがよかろうとなったので、22.5センチの在庫があるものを選んでフィッティングしている息子の前に並べる。たぶん7種くらいあった。

「これ、アリかナシかいって」と一つ一つを見せてみると結構即決して「アリ」か「ナシ」をいう。残ったのは赤、オレンジ、蛍光黄色のもの。ピンクや蛍光の青色などの派手なものはお気に召さなかったらしい。

試着して走ってみて、「これにするわ」と最終的に決まったのは白と蛍光黄色と黒の大人しいデザインのものだった。アディダスのやつ。自分に近い選択で好感が持てる。

ユニフォームは時間切れで今度また来ようとなった。商品ラインナップを見ても、息子のサッカースクールでよく見るものばかりなので、ぼくもあまり気が乗らなかった。ボールだけ一緒に買かってやる。ボールもいろんな種類があって、選ぼうとしていたけど、「ごめん、これにして」と一番安いものをお願いしたら、父の懐事情を知っているから「わかったよ」とすんなり受け容れてくれる。

その流れで保育園にいって長女と次女を迎えると嬉しかったのだろう、早速サッカーボールのナイロンを外して園庭で蹴って遊んでいた。

普段履いている靴はアシックスのスニーカーである。車中、今日買ったのは「アディダス」、それは「アシックス」と教えてやる。アシックスは日本の会社、アディダスはドイツ。「父ちゃんのバスケのシューズはアシックス。日本人の足の形がベースだからやっぱり履きやすいよね、でも高いんだな。でもアディダスは日本代表のサッカーのユニフォームやね。」と説明すると、「日本代表なのに、アシックスじゃないの?」という。素朴な疑問だな。

「高いんじゃないかな」と返すと、「日本代表って、金ないの?」とこれまた素朴に返ってくるので、「いや、スポンサーといって」云々カンヌン、不思議だろうけど、むしろアディダスが金払ってユニフォームをあげているのだね、と商売とお金の流れを教えてやる。「ふーん」と静かに聞いていた。

「何でもいいわ」でなくて、ちゃんと選ぶようになって成長を感じた。モノを買うとき、悩んだ末に「これにしよう」と選んだりする気持ちって、大事だと思う。そのモノへの愛着になるし、自分らしさを意識するから。今日着ていたTシャツも、カンボジアのイオンでどれにしようか悩んで買ったものだ。旅の思い出とセットになって気に入って着ている。そうやって自分のものに囲まれながら、自分がつくられていく。

今度はユニフォーム編で何を選ぶか楽しみだ。自由に選ばせたいと思う。