豪雪つづく

大雪で小学校は3日連続休校。保育園も先生が少ないので休み推奨ということで、子どもたち3人と家ですごす。いつもの家事に食事の準備に加えて雪すかしもあって、3人の面倒をみるのはまだまだ大変だ。ずっとファミレスのホールスタッフでテープルのボタンを押され続け対応しているかんじ。各種ご要望にお応えする。チェスしたいだの次は将棋だの、アナ雪みたいだの、喉乾いただの、トイレだの。お客様は待ってくれない、そして細かい。全てを自分ではできないから必ず手がかかる。

昼食は鮭を焼いてご飯に混ぜておむすびにする。加えてめった汁をつくるけど、温めるのにいいめった汁はだれもすすろうとしない。

家の中にいただけでは犬と同じようにこの子たちはストレスになるから、外で遊ばせる。が、次女のスキーウェアは保育園に置いてきてしまったので、「今日は雪遊びできないね」と次女にいうとギャン泣きするから、留守番させて一人保育園に徒歩で取りに行く。いつもは片道15分くらいで行けるコースは雪の中なので25分くらいかかる道に迂回。それぞれの家の前でみなさん雪すかしに励まれている。同じく休校なのだろう、中学生や高校生の姿も見える。

息子は楽しみにしていたツララに雪玉当てて落としに興じたり、はなれとポーチの屋根雪を降ろしたりがんばってくれる。ついでに1階まで飛び降りてフカフカの雪に全身埋もれる。ひとりで脱出できないので助けてやる。

長女と次女はディズニー・チャンネルの番組でミニーとデイジーのハッピーヘルパーとかいう唄が気に入ったらしく、長女がミニーで次女がデイジーらしい。

特に次女がキーパーソンで、トラブルメーカーでもあることに気づく。長女と、息子とそれぞれ揉め事をおこし、主にモノ、特にツララの取り合いやの仲裁。

長女がトイレしているときに次女も「トイレ〜、漏れる」でみんなあわて、はなれのもう一つのトイレにつれていく。次女を済ませて母屋に戻ると長女が「出た〜」と待っている。1分間に二人のお尻を拭いたのは新記録である。

 

朝パジャマから着替えて朝ごはん食べようといったら、「ママはパジャマのままで朝ごはん食べてもいいといっていた」と一歩も譲らず大泣きしたり。 

昨日は息子の水泳教室の日で雪に埋もれた車をガレージから出さなくてはいけない。せっせと雪すかしをひたすら黙々としていたらあっという間に晩の水泳のバスのお迎えの時間になっていることに気づく。あわてて雪落としに勤しむ息子を車に乗せて娘二人を家に置いてバス停まで向かう。バス停でひとり待たせると息子が凍えるので一緒に待つ。しかし、待てどもバスが来ない。もう行っていまったか、それとも遅れているのか。娘二人が心配になる。仕方なく息子をバス停で降ろす。「もしもバスが来たらのっていけ。こなかったら、ここにいろ。」

娘二人を回収にいく。家でアニメを見ていた娘二人は急に番組を止められて、次女が泣く。二人を無理やり車に乗せて、バス停にいくとまだ息子はいた。もう水泳教室の始まりの時間だ。バスは来ないと見限って、遅刻してでも水泳に連れて行こうと彼を乗せて車を走らせる。後部座席で長女と次女が「喉乾いた」と連呼している。

赤信号で念のため水泳教室に電話すると、「本日は営業しておりません」の自動応答。

「今日、プール休みだっけ?」と息子に聞くと、

「わからん」

「家のカレンダー見てくればよかったね。ま、やってないんだね。帰ろうか。」

ここ数十分の張りつめたドタバタから、一気に気がゆるむ。

何のために雪すかしを1日かけてせっせとやったのかむなしくなりながら、車をUターンしにローソンの駐車場に入る。ちょうど喉がかわいた娘二人のご要望にお応えしようとしたが、次女はいつのまにか寝てしまっていた。疲れていても無理はない。だからだいぶワガママだったのか。

息子と長女に何か買ってあげるといったら「イェーイ」と歓声が上がるが、財布を家に置いたことに気づく。息子と長女は10秒前の喜びが水疱に消え落胆しているが、年の功で次女とちがって理解がある。長女が帰宅したママにこの顛末を告げ口するくらいだ。家についたら息子と長女も寝てしまった。仕方なくガレージから3人をそれぞれ抱っこしながら玄関に入れると、3人とも眠たいけど起こされたために機嫌が悪くなる。

しばらくすると妻が帰宅する。家のカレンダーを見たらプールは休みじゃないという。おかしいな。プールのHPにいってもトップには何も書いてない。ふと「コーチのブログ」にいくと「臨時休業します!すみません!」と書いてあった。おかげでだいぶ泳がされた。

 

夕食を作っていたら、次女がDVDを抱えて「トトロみたい」とキッチンまで上がってきた。眠たいのに寝たくないといういつものワガママモードである。「今日はいろいろ観たでしょ、また今度ね」といっても「トトロみたい」との連呼が何十回も続くので何かもうどうでもよくなってきて「好きにして。でも明日はいうこときかないよ」と言ってしまう。それでも初志貫徹でそのままDVDを妻がいる部屋に「つけて」ともっていく。妻がうまく懐柔して風呂に入るらしく、結局観ないですんだらしい。

 

食事つくって、食べさせて、皿を洗って、洗濯して、明日の朝の準備をして。ヘトヘトである。こちらもたびたび余裕がなくなり、結局、今日は何度か息子と次女に大声を出してしまった。反省しきりである。特に息子は長子としていろいろ期待してしまう分、厳しくしてしまうから彼にはしわ寄せがいっている。かわいそうだ。怒られてもわりと切り替えてケロッとする性格だからそれが救いだ。

夕食を食べている子どもたちに「今日楽しかった?」ときいたら息子と長女は「うん」といって救われるけど、次女は「楽しくなかった。『トトロみたら、もう言うこと聞かないよ』って怒られたもん。ぜんぜん楽しくない」と恨み節。真っ直ぐな答えで反省する。息子と長女も顔色を伺っているだけだったらどうしよう。

 

長女も眠たいのに夕食を食べてから「チェス教えて」というので、息子にチェスの駒の動き方を教えさせる。教えてから、なんか確認の問題を出して答えさせている。ナイトの動き方がわからないらしく、ぼくが図に書いて教えている間に椅子にひっくり返って寝てしまった。

この子たちに「眠たいから寝る」はなくて、ワガママモードのオーバーヒートするまで体力を使い切っていきなり倒れる。そんな毎日だ。「眠たいでしょ」というと「眠くない」とムキになる。「眠たい」とすぐにいう親とは違う。

 

寝る時、息子と次女の間に入って二人を抱きしめながら罪滅ぼしのように優しくする。特に息子にはなんで父ちゃんがあのとき怒ったのか、を説明する。どうして足で物をどかしてはいけないのか、暖房つけているときに窓を開けっ放しにしてはいけないのか、など。一方の次女は横にもならないで、能天気にいつまでたってもキャッキャキャッキャ息子に話しかけて寝ない。しかも「ブッコロス」とぶつぶつ呟いたように聞こえる。穏やかではない言葉を口ずさんでびっくりする。息子も「いま、『ブッ殺す』って言ったよね?」と驚く。

次女に「何ていったの?」と聞いたら、質問のされ方がシリアスだったのを感じ取ったのだろう。黙り込んでしまい、「わからない」との回答。

「だれが、それいってたの?」

「・・・じぶんでかんがえたの」

「『ぶっころす』って、いった?」

「わからないの」

ごまかしているように思えるし、正直にいっているようにも思える。

どこで覚えたのか、それとも別の言葉だったのか、結局分からずじまい。心当たりとしたらドラえもんジャイアンあたりかな。でもジャイアンもいわないような。ディズニーのコンテンツでは使わない、はず。

こちらはなんか悲しくなる一方で、依然として次女はウキウキルンルンでブツブツ独り言を言い続けているので、「寝ないならあっちいって」と冷たく言ってしまった。それが傷ついたらしくまた泣いて、そのまま寝入った。ぼくも反省して優しくしようとしたのに、結局次女の一日を泣いて終わらせてしまったかと思うと後味がわるい。

 

前夜は長女と息子がぼくの右と左で寝て、これまたこの二人も息を顔に吹きかけあうのが楽しいらしく、順に息を吹きかけあいながらずっと笑いあって寝なかった。でもこの楽しそうな雰囲気に押され、しかも長女と息子が笑いあって仲が良いのは珍しいから「早く寝ろ」は封印できた。自然と二人でやめて静かな寝息に変わった。今夜もそうやって二人に任せて我慢できればよかったのだけど、ぼくも疲れて早く寝たかったから耐えられず。

 

子どもとの時間を大切にしたいとい言っておきながら、キャパを超えたらイライラしてくるから自分が情けなくなる。これでもだいぶ楽になったほうなのに。オムツ替えもないし。

小さい子どもはファンタジーの中にいるという。たしかに「ねぇデイジー」「はい、ミニー」とすぐに番組からの影響をうけてなりきって歌っているし、電卓ひとつあればお店やさんのレジ役になっておままごとが始まる。

一方の親は、現実的な世界でせっせと家事に勤しんで、なるべく効率よく事を運ぼうとする。集中しているし、「流れ」を止められたら困る。その分、ファンタジーの世界に足を踏み入れて、現実では非効率なことに付き合うことを非常にしにくい。二つの時間の進み方は違う。結果、子どもたちを急かしたり、邪魔をしたら怒ってしまう。そのズレがお互いのストレスなる。

だから、親はモードチェンジをしなきゃいけないのだ。子どもに付き合う時は、ファンタジーの違う時空間に飛び込むのだ。家事のモードのままではいけない。非効率を、楽しまなきゃいけない。

 

冷静になれば当たり前のことなのに、今日も反省である。

ずっと頭痛がして水鼻が出る。風邪気味と筋肉痛。雪すかしに追われ、カマクラやソリ台をつくる体力と時間に余裕がないほどの降雪が続いている。腰がピリピリ、ぎっくり腰寸前。太ももと腕は筋肉痛である、延々と反復する雪かきの動作のおかげで、普段つかわない部分の筋肉が発達したのだろう。

明日も休校らしい。明日こそ、穏やかで優しく楽しい1日を過ごしたい。