東京で

秋に東京にいったときのこと。息子のかつての保育園で同じクラスだった友だちたちが集まってくれたのは嬉しかった。場所はよく遊んでいた隅田川沿いの公園。スイミングスクールに通っていたころ、土曜日の朝、よく歩いて通ったので懐かしい。そこに野球場があって、よく遊んでいた男の子二人は野球少年になり、そこで試合をする日だった。一人は野球場の中にいてユニフォーム姿。もう一人はその日、ケガで見学。ケガをした友だちと再会したとき、二人共照れくさそうでどちらも言葉を発さず、友だちはすぐに野球チームの友人たちの輪に加わって、息子とは離れた。息子も別に寂しそうではない。「キャー、久しぶり〜」というキャピキャピフレンドリーな感じではないのが男の子っぽい。息子は野球場の回りを一周するからタイム測ってと走り出した。

ほかにも男の子も女の子も懐かしい顔が三々五々集まってくれて、池の回りで遊びだす。どの子も随分大きくなっているけど、面影はあまり変わっていない。女の子は長女と次女と遊んでくれる。息子が保育園で一緒だったのは、年中までだったから、今の長女の学年だった。4年前になる。

時間がたつにつれてタイムラグの垣根はすっかりなくなって、わいわい走り回ってピクニックにきてお弁当を食べていた小さな子どもづれの家族から「あっちにいけ」と注意されている。都会は公園も窮屈だ。田舎と同じノリでは怒られる。

小学校はバラバラなので、あまり集まってはいないらしく、親御さんの一人が「なんだ集まれるんじゃん」と口にした。息子にとっていい友だちと出会え、居心地がよくて楽しかった保育園の最後の日の切なさや寂しさは一生忘れないだろうな。教室で最後みんなが息子をわっと囲んでくれて「元気でね」、バイバイ」と励ましてくれた。玄関にいっても名残惜しかったのだろう、息子は普段は素通りしていた水槽を見ながらその場を離れようとしなかった。

次に会えたのは翌年の卒園式の日で、たまたま上京できていたから謝恩会にも混ぜてもらえたのもいい思い出。

そんなことを思い出していたら、息子の姿がない。どこに行ったか聞いたら、さっき照れあっていた友だちと二人で近くのスーパーまでお菓子を買いにいっているそうだ。2人でおつかい。当時は考えられなかったけど、難なくこなして戻ってきた。「あいつ、1000円ももらっとった」と羨ましそうにしている。我が子が楽しそうにしているのをみること、親にとってそれ以上の喜びはない。ありがたい一日だった。

もしも息子が高校を卒業して東京にいくことがあって、この子たちと再会をするとしたらあと9年しかない。あっという間だろうし、あながちないとも言い切れないだろう。