この年末年始

年末年始はずっと我が家で過ごした。家ができて2年目、去年は妻の実家だったから、はじめて我が家で年越し。というか、里帰りをずっとし続けてきたわけだから、結婚して12年目で初めて。

年末の3日間もさしたる外出はせず、温泉に行ったくらいで、いつになく年賀状も早く投函し、その後妻と子どもたちとずっと掃除をし続けた。気になるところはほぼやりきった。すこぶる気持ちがよい。高窓にはしごをかけて窓枠もきれいにできた。風呂のブラインドも1枚1枚きれいにした。玄関まわりのガラスも吹いた。表札もピカピカにした。スダレが風で傷つけた玄関の木枠も塗り直した。もういらないだろうという一人暮らしのときから使っていた棚も解体して階段裏も少しスッキリした。さらに大晦日に妻が長女と次女を連れて妻の実家にいっている2時間ほどの間にいまがチャンスを髪にバリカンを入れた。

この家はぼくにとって終の住処になるだろうという覚悟ができて以来、掃除にも身が入るようになった。家もずっと元気で清々しくあってほしい。設計してくれた建築家や建ててくれた棟梁も年の瀬に来てくれた。家を点検しつつ、大きな窓からの景色を眺めながら「いい仕事した」と満足げだったのでこちらも嬉しくなった。

こうしてスッキリした我が家で迎えた大晦日。ここまでやると、「さぁいつでもこい新年」という気持ちになるもんだ。

大晦日は家で映画を見たあと、体内時計がしっかりしている長女は年越しそばを食べるまえに22時頃に限界がきて先に寝た。食い意地の強い次女はしっかり年越しそばも「全部食べれる」といって完食。それまでけっこういろいろ食べてたのにな。彼女吐くまで食べる勢いだ。食欲が満たされた後は眠たくなって23時ころにおやすみ。

長男は意地でも年を越したかったようで0時をまわるまでぼくら夫婦の間で本を読みつつ目をこすりながら時間を過ごす。ぼくら夫婦はワインを飲みながらグダグダしている。

どこにも行かず綺麗な我が家で年を越すというのが、ぜんぜん退屈でなく、こんなに気が楽で、落ち着くなんてはじめて知った。これに気づくまでいままで随分回り道をしたもんだ。

年が明けても過ごし方は実に地味だった。長男の宿題の書き初めをしたり、お雑煮食べたり、すき焼きをしたり。外出といえば妻の実家に行って、一緒にカラオケいったり、ぼくの叔母さんの家にいって従姉妹と遊んだり。アウトレットに行って靴を買ったり、本を買ってあげたり珍しく大盤振る舞いをしたり。あっという間に過ぎて、初詣と墓参りは行きそびれてしまった。

普段から子どもたちとは十分遊んでいるけど、それでもなお一緒にいて楽しい。いまのぼくにとって、これ以上の幸せな時間をぼくは知らない。

ダイジェストでいくとこんなかんじ。

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【長男】

ズッコケ三人組ドラゴンボールを適宜はしごしながら、『罪と罰』を読破してドフトエフスキーに興味を持つ。

ドラゴンボールのUNOをだれかしら捕まえてやろうとする。

・大掃除ではグリーンネットにからみついた朝顔の蔦をとったり、虫かごの片付けをしたり自分の勉強机をすっきりさせたり。

【長女】

・将棋とオセロを覚える。

・「次何をすればいい?」大掃除でママの手伝いを甲斐甲斐しくやる。ガラス拭きなど。

・「明日はカラオケにいくからね、わかった?覚えといて」といって寝た翌日、約束どおりいけたカラオケで『小さな頃から』を必死で歌おうとして祖母祖父から感心される。

・「温泉に行きたい」といって温泉に向かう車中で寝るから家族で引き返す。翌日くやしかったらしく朝一番で「今日温泉にいくからね、わかった?」といいながらみんなを起こす。

・家でいつも一番に起きる。

【次女】

・お餅、バナナ、すき焼きの肉、チーズナンなどなど目の前にあるものはすぐ「食べたい」と手を伸ばす。

とんがりコーンをぼくの口に入れてきて「おいしいから食べてみな」ができるようになる。

・黄色い台座を使えば、洗面所の歯ブラシに手がとどくようになり、一人でできるようになった。(水道の蛇口だけは届かないので水は止められない)

・何かしてほしいことがあれば「だれか〜◯◯やって」と「だれか」にヘルプを求めるようになる(妻の真似か)。

【長男と長女】

百人一首で真剣勝負をしている。

・一匹水面に浮かんで苦しそうで弱っているメダカを心配して、エサをすりつぶして食べさせようとする。

【長女と次女】

・カラオケでドラえもんの唄を一生懸命歌う。

・雪が降った庭を走り回る長女と次女。

【長男と次女】

・親に怒られて次女が泣いたら長男が「大丈夫だよ」と真っ先に慰める。

・これまで自己中でわがまままな次女を「社長さん」と呼んでいた。長男が「社長さん」と今日呼ぶと「『社長さん』と呼ばんといて」と次女。社長を辞する。

【三人】

・土間の壁にプロジェクターで投影して観る『ホームアローン』をゲラゲラ笑いながら肩を並べてみる。

・長男がもっていた3つの貯金箱を長女、次女にそれぞれあげて、各自お年玉を入れる。

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とまあこんな調子である。妻が言っていたけど、次女も自分で感情を表現でき、トイレも自分でできるし、3人目も手がかからなくなってきた。妻とぼくがいなくても、「3人だけの社会」が成り立つようになっている。そのキャッキャやっている姿を、できるだけ目に焼き付けておきたい。

それに、小さなうちの子どもたちの「お願い」って実にシンプルだ。「抱っこして」やら、「ねぇパパ見て」とか、「これ読んで」とか「一緒に寝よ」とか「喉乾いた」とか。「ハワイに行きたい」とか「高級バッグを買って」とかではない。その気になればすぐにその願いは簡単に叶えてあげることができるものばかり。しかも親ならでは、のお願いばかりだ。どんなに疲れていても、今のうち、できるだけ応えてあげたいのだ。大きくなってからのお願い、特に金銭面は「ごめんムリっ」ってなっちゃうだろうし。

何の変哲もない日々。ではあるけど、子どもたちの成長をみているのが何よりも刺激的で、フレッシュな目からの世界の見方をぼくが教えてもらっているから、世界が広がっている気がして飽きない。今年も目一杯遊ぼう、いや、遊んでもらおう。この子たちに親にしてもらった以上、悔いを残したくはない。やりきるんだ、父親を。