いっしょに料理

保育園から帰ってきて、長女が「お手伝いしたい」というから一緒に夕ご飯をつくる。今日の献立は豚のしょうが焼きと味噌汁と、エリンギとイカのバターしょうゆ。まず野菜を切りたいというのでネギを5mm刻みで斜めにきるようにお願い。5mm幅は厳しいかなと思ったら案の定1cmを超えている。大きくて食べにくそうなものはぼくが手を貸し、さらに半分にする。それを見て本人も気をつけるようになってだんだん小さい幅で切れるようになる。前にも書いたけど、彼女の包丁さばきは荒削りではあるけど躊躇なくザクザクと切ってゆく。その勢いや良し。食べられればいいでしょ、という大胆さがある。繊細さはない。

そんな調子だからスピードは早い。さっさとネギ1本くらいは片付いてしまって「もっと切りたい」。次はしょうが焼きに添えるキャベツの千切りをお願い。これはザクザク切ればいいだけので彼女に合う。

予想通りバンバン刃をいれていく。「できるだけ細長く切れるかな。」とお手本を見せながらお願いすると、ほどほどにできるようになるからこれまた頼もしい。ぼくはその脇で生姜の皮をむいてすり下ろすと「それは何?」と興味深々。匂いを嗅がせる。

続いてぼくが豚肉をたんまりボールに入れて醤油やみりんなどとグリグリ揉み込んでいると、「今度はそれがやりたい」となる。任せてみる。揉みながら、手が冷たいとか気持ちいいとか飽きずにずっとこねくり回している。

その間にぼくはカボチャを切る。カボチャは堅いから切りたくないらしい。

次から次へとぼくがやっていることを見てはそれに興味が移り、エリンギとイカのしょうゆバターを先に炒めていると、フライパンを持ちながら、もうひとつの手で菜箸で混ぜるのをやらせろという。途中で「これ、食べたことがある」と気づき、「これ、わたしのダイスキなやつだ」と嬉しそう。

味噌汁のためのお湯がわいたので、お鍋に切った野菜たちを入れてもらう。その後、いよいよ豚肉のしょうが焼きもエリンギとイカ同様に混ぜて炒めてもらう。

そんな調子で一通り、どの品にも何かしら関わってもらうことができた。普通に戦力になってはかどった。ちなみに、この間次女はキッチンの前のダイニングでマクドナルドでもらったミニオンズの玩具をつかって会話をしている。ミニオンズ役は長女で次女はそれにいろいろ話しかける役。「ねぇミニオンズ」と次女が話かけ、長女が「なあに?」と応答するという具合。長女が相手をしてくれているから次女は退屈にならず、「わたしも料理やりたい」といいだすと大変なことになっていたから、それはそれで大事な役割。

「いただきます。」家族みんなで食べる。しょうが焼きが実に美味しい。このレベルの定食屋は普通にあるぞ。ただ漬け込んだだけではなく、ちゃんと揉んだから味がちゃんと染み込んでいるんだね。長女のお手伝いが効いた。妻も長男もどんどん箸が進み、あんなにいっぱい作ったのになくなる。食べながら「美味しいなぁ」と繰り返しぶやいていると長女もうれしくなったようで、椅子から降りてぼくのところにきて何度も抱きついてくる。「手伝ってくれてありがとう」。「明日もまた手伝うね」と行ってくれる。5歳の親孝行。でも明日は公文の日だね。

将来、彼女が大きくなったら。ご飯を作ってもらうのが夢ではない。やっぱり一緒にキッチンに立って料理がしたい。