社会科見学の一コマ

息子が社会科見学で職場の近くの公園で昼ごはんを食べているらしいので、昼休みに公園にみにいく。近づくのは気が引けるので、100メートルくらい距離をとって観察。

先生のそばできちんと列にならんでいる集団と、公園を走り回っている活発な集団に分かれていて、息子のことだから遊び回っているだろうとおもうが、息子の友だちはいるけど、見当たらない。

列のほうに目をやると、同じ制服をきているからよくわからない。

走り回っている子たちに列の集団が先生と一緒に声をかけている。「速く戻って列に並べ」といった趣旨だろう。

その中に、息子の「早くこい!」という声があった。意外に頼りになる存在なのか、息子はとビックリしながら、声の方に目をやると、前の列から3列目くらいに行儀よく座っている。てっきり列を乱したり、集団行動の足を引っ張っていると想像していたから、ちょっと意外。

朝に家を出かけるときに「会いに行けたら会いに行くわ」といっておいたので、このまま気づかれなかったら帰ったときに「父ちゃん今日おらんかったやんか」と責められそうなので、存在は伝えることにする。

列の前の方に位置を移動。列の先頭の先生の背中の向こうで体育座りをしている息子を正面から捕える。

息子のとなりに近所の友人が座っていて、先にぼくに気づく。必死で息子の背中をトントンと叩いて教えようとしているが、息子はほかの友だちのと話に夢中でそれどころではない。

手を振りつづけること1分くらいして、ようやくその友人の合図に気がついて、前をむいた。すぐにぼくに気づいて、どういうリアクションするかなと思ったら、こっちが恥ずかしくなるくらいに大きな声で「父ちゃん!」と声をあげて手を振る。ほかの友達、そして先生たちの視線もこっちにむき、ちょっと恥ずかしい。「こ、こんにちわ〜」。

息子も恥ずかしがって、こっそりアイコンタクトをするのかとおもいきや、素直にまだ感情を出した。実に真っ直ぐだ。ぼくは何を照れていたんだろう。

とはいえ、あまり注目を浴び続けるのも空気を読んでない気もするので、散歩しててそのままどっかいく体で歩きながら集団から少しずつ離れる。どんどん息子の姿は小さくなる。

やがて、列は立ち上がり、前進を進めた。後方から見送る。友達たちと賑やかにやっている姿をみて、きっと家で「楽しかった」というのかとおもうと安心する。ひと目見れてよかった。

帰宅して、妻に息子が「早くこい」といっていた下りの話をしたら、やけに喜んでいる。彼女も迷惑をかけていた方だと勝手に思い込んでいたらしい。

息子に「おまえ、そういうこというんやな。父ちゃん聴いたわ」といってみたら、「だって、ただ並んでて、暇やったから。声でも出すか、って思ってね。早くバスにもいきたいし。」とのこと。

「暇やから、声でも出す」。全く予想に反する動機。特にリーダーシップがあるとか、先生に気を遣ってとかじゃない。むしろ、自分のため。

とはいえ、実にその朴訥としたかんじは息子らしく、妙に納得がいって、むしろホッとした。