帰宅時

自転車で坂をかけあがり、家路につく。夕日が遠くの海に沈みそうだ。夕日に間に合うかどうかはぼくにとって大きな違いで、夕日をみながらのチャリは気持ちが晴れ晴れする。

道すがら、見慣れた後ろ姿を見つける。ブレボーでゆらゆら前進して、手にはキックボードをもっている。公園で友達と遊んでいた息子だ。妻から言われた時間になったので、急いで帰っているのだろう。キックボードを持っているせいでちょっとの坂も苦労しながらブレボーを漕いでいる。たぶん、走ったほうが速い。

後ろから声をかけるとうれしそうに振り返り、「おれ、キックボードもっとるから、なかなか進まない」と説明してくる。見たらわかる。友達に貸してあげていたそうだ。

キックボードを持ってやると「ありがと」といって、いつもの調子のスピードになる。

ぼくの自転車よりは遅く、後ろから必死でついてくる。

夕日を浴びながら、帰宅時に息子と会って帰る光景。サザエさんのマスオさんとカツオくんを思い出す。あっちは甥っ子だけど。二人ともお腹が空いた。今日の夕飯な何かしら。