その確率たるや

夜に次女のオムツがない、と軽く騒ぎになった。あんなに沢山あったはずで油断していた。沢山入った新しいパックがあるはずと捜しても、どこにもない。ゲゲ。山を降りて薬局まで買いにいく体力はもう残っていないので、できるだけ避けたい。明日まで乗り切れるか。

廊下、階段の踊り場、和室、水回り。普段あんなに神出鬼没に落ちているオムツも、今日ばかりはなぜか落ちていない。

そうだと車に行って、外出用のオムツのカバンがあることを発見。なんとか2枚を確保。彼女の頻度からいうと、ギリギリなんとかなるはず。ひとまず下山はしないことにする。

妻から「オムツ買っておけ」との指示が出る。以前にヤラカシタことがあって、できるだけ、避けたいこのミッション。「パンツタイプで、ムーニーで、Lね」。「はーい」

 

スーパーのオムツコーナーに立つ。前回同様、ここでわからなくなる。前にヤラカシた元凶、テープタイプではなく、パンツタイプなのは大丈夫。でも、これ、わかっちゃいても、この2つのパッケージデザイン、ほとんど変わらない。この違いを軽視している。隅に小さく「パンツタイプ」、「テープタイプ」とおしとやかに書いてあるだけ。だから、ついパンツタイプだと思ってテープタイプを手にしてしまうこともある。ぼくにしたら、まずここに目がいく強調したデザインにしてほしい。「パ」とか「テ」とか、グーンと一番大きくど真ん中にレイアウトしてほしい。ドヤ顔の幼児の笑顔などいらん。そうなってないのは、ぼくのようなうっかりさんが間違えて買って「2度おいしい」を狙ってるんじゃないかと訝しんでしまう。

 

次はメーカー。ムーニー?グーンだっけ?ちゃんと聞いておくべきだった。パッケージの柄をみたらわかるだろうとタカをくくったのがまずかった。いざ前に立つどどれも既視感があって、家に一度はあった気がする。メーカーのロゴ、幼児の笑顔、キャラクターが添えられて、ド派手はロゴ。極彩色。なんでこんなにエゲツない画一的なデザインなんだろう。ひとつくらい、おしとやかなものはないものかしら。

 

そして、サイズはM?L?「エ」が始まりだったのは覚えている。「エ◯」の◯がわからなくなる。Sもそうだ。なんでどいつもこいつも「エ」始まりなんだろう。大中小なら、まだ音で覚えてたはず。ドアの「PULL/PUSH」しかり。欧米化が歯がゆい。

 

まぁこのあたりやろ、で選ぶか。オムツは意外に高く値段は4桁なので失敗は許されない。冷静になろう。メーカーは4種類、サイズは3種類、タイプが2種類。これだけで24通りある。しかも、男の子と女の子の区別もあったり。48通りあるとして、あてずっぽで1つを選んだら、それが正解する確率は2%。おそるべき数字じゃないか。危険すぎる。

 

ここは勇気ある撤退ということで、妻に確認するほうが賢明だと判断。今の時間は運転中なので携帯は出ない。保育園で妻を待ち伏せる。「いまから薬局いってオムツかうつもりで、確認なんだけどさ」と切り出す。さっきスーパーで立ち往生したことなどオクビにも出さない。仕事ができる風を装う。

先に行こうとしたら、長女がお出かけの雰囲気を感じたのだろう、パパと一緒にいくといってついてきた。薬局へいって、正しいのを選んで購入。スーパーにはない品揃えだった。あぶね〜。

 

ウル覚えのまま、なんとかなるやろ、という人生を歩んできたけど、家事をしはじめて、その体質が少しずつチューニングされつつある。前はノアを買いにセレナを買いかねないくらいだったから、進歩と呼んでいいのだろう。とはいえ、間違えてセレナを買っていても、なんとかなっている気もする。その前に責任感と記憶力を磨けという話でもあるが。