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幹線ロードサイド

家がある山から降りていくと、交通量の多い幹線道路にぶつかる。マクドナルドにビッグボーイ丸亀製麺サイゼリアニトリユニクロ、そしてイオンといった全国区だったり、地元の薬局やレストランのチェーン店が並ぶ。テレビのなかと一緒。どこにでもあるごくふつうの風景。

幹線道路の看板って、おっきい。走っている車から見られることを前提としてるから。車ができて、都市は道路だけでなく、街なみもこのスピードを意識してつくられるようになってるわけですな。ぼくの場合、車もあるけど自転車や徒歩でその道沿いをあるくこともあるのだけど、そのときはなかなかこの看板が視界からなくならない。ずーっと「こんにちは、みんなだいすき、マクドナルドですよ〜。お腹空いてませんか〜」といわれているかんじ。それがちょっといやで、一本脇の川沿いの細い遊歩道を行くようにしてる。川に真っ白なサギがいたり、カモが家族で泳いでいたり。落ち葉が雨にぬれて、滑りそうになったり。遠くの山並みが、きれいだったり。足元に咲いている花に気づいたり。これもどこにでもある風景かもしれない。でも、落ち着くのはなんでだろう。たぶん、人間の目の認識は、自分の身体が出すスピードに合わせてチューニングされていて、それより速いと気づかないようにできている。川沿いのほうは、自分のスピードで、自分から気づく、急き立てられたり、掻き立てられたりはしていない。ほんとは必要ないのに、欲しいかもという気になり、惑わされることもない。不自然に大きなバイアスのかかった刺激がないから、かな。

先日、夜に終バスに飛び乗ろうと全力疾走で走っていたら、暗闇に潜む車止めに足をひっかけて、何十年かぶりに、前のめりにズサーっと思いっきり転んだ。刑事ドラマで鉄砲玉をよける刑事ばりに。辛うじて手はついたけど、お気に入りのジャンパーは破けて、ヒザ、ヒジ、指という先端すべてが内出血するわ、打撲になるわ、出血するわでもう大変。バスの中で1人指を伝う血をぬぐいながら、車止めと自分の迂闊さをうらんだ。数日はヒザを引きずって歩いてて、保育園の先生からも心配された。これからどうなっちゃうかな、折れたかな。けど、数日でケロッと回復。バスケが普通にできるようになった。そうか、身体も自分の走ったスピードくらいの衝撃だったら、大丈夫なようにできてるのか。心強い。たぶん、足遅いだけだけど。

お風呂で次女が、ヒジの傷に気づいて、「パパ、ここイタイイタイなの?」ときいてくる。心配できるようになったのか、うれしいな。そうだよ、というと、「へ〜」といって、思いっきり指で傷口を触ってくる。「イタイ!」っていうと、びっくりした顔をしている。まったくその顔には悪気がない。だからこっちも怒りは出ない。それにしても、それはまったく予想してなかったわ。そんな発想、おれはもってない。面白いから、今度ヒトにそれ、やろ。

 

その幹線道路沿いにあって、よく行っていた大きな天然温泉のスパがつぶれた。解体工事をしてて、そのあとに、ピカピカの改装工事をしていて、何ができるのかなとワクワクしてたら、日産の車のショールームらしい。長男が気づいて、あれ、なに?と聞くのでそう説明したら、「なにそれ、つっまんね〜の」とつぶやく。そのとおりだな、と思う。車のショールームなんて、数十年に1回利用するかしないか、だもんなぁ。

ドーンと鎮座するそのショールームは照明は煌煌と夜まで光って存在感を放ち、そしてやっぱり看板はでかい。

 

もうこんな時間か。娘を迎えにいかなくちゃ。トイザらスで買ったプレゼント、トランクに隠してあるけど、気づきませんように。特にあの目ざとい長女。

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