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キッチンにたつ父親の面影

水・木・金はごはんをつくるのはぼくの仕事。

先週からつくったもの。親子丼、トマトクリームパスタ、豚肉煮込みトマトソース、青椒肉絲、麻婆豆腐、カレイの煮付け、肉じゃが、カレー、ハンバーグ、お刺身サラダ。

この育児生活をはじめるまで、はずかしながら、いままでキッチンにまともに立ったことがなかったわたくし。キャベツとレタスの違いもよくわからないわたくし。

パスタを買いにスーパーにいくと、ゆで時間や太さやらでいろんな種類があって天を仰いだり。これまであんなに好きで食べてるのにな。パルメザンチーズってのも、聞いたことあるけど、いざどんなもの?といわれたらわからない。探し回ったけど結局みつけられず、店員さんに聞いて、おぉ君か!君のことはよく知ってる!と対面したり。

いちいちそこからかよっ!てところにひっかかりつつも、少しずつ、できるようになって、なんだ料理って楽しいじゃないかとなってきてる。自分がつくったものは、まずくても、うまい。子どもたちがおいしいといって食べると、素直にうれしい。もったいないからバカ食いはしないので、食べる量も減って健康的。

一方で副作用もあって、自分でつくるようになると、外食って、ほんと、高いわぁ〜とつくづく。節約生活だから、外食が楽しいものではなくなって、一つ一つの値段が気になっちゃいまして、スーパーの材料の値段が大体わかるので、心臓にわるくて、軽々しく頼めなくなってる。家で食事するのが、よっぽど気が楽になってきてます。でも、プロの業、自分ではとてもつくれないおいしいものを食べることができたときの畏敬の念はこれまで以上に実感こもりまくりで、そのありがたみを感じますです。

 

ぼくの父は、全くキッチンに立たなかった。家事は一切しない。働いて、家では好きなことだけをする。これまでのぼくは、それを何となく、いいことだとは思わなくても、結果、妻に何でも頼り、踏襲してしまっていた。

いまのぼくは真逆だなぁ。妻に頼ってるとこはまだまだ多分にありつつも、この生活で、子どもたちが持つであろう小さな頃の父の姿は、キッチンにたつし、洗濯もして、皿も洗い、手が空いてても草もむしってる、せわしない姿、になるだろう。

 

一家の大黒柱として威厳を放つ父、ではない。ご飯もぼくが一番最後に食べ始める。つくる分量間違えて、ぼくの分はなかったりもする。

父は家長で偉いもの、どしっと中心で腰をすえている。それもカッコいいかもだけど、そこにはある種の偶像崇拝的な信仰心が必要な気がする。そのために子と父には、ある距離感があって、近寄らなくしておく。むかしは敬語をつかってたように。父も、そのように振る舞う。子どもとベタベタしない。言葉も少ないイメージ。同じステージにはいない。でないと、お父さんって、何で家でなにもしないの?って疑問がわいてくる。

実際、ぼくにもあった。共働きだったし、なおさら。お母さんか布団で寝たの、平日はみたことがない。もっと手伝ってあげればよかった。悔やまれる。

 

もともとは、人類がまだ狩猟生活だったころの、男性は狩りに出かけ、女性は料理したり子育てしたり、家を守る的な役割分担なのかしら。でも、あの頃って、狩りは数時間だったらしい。あとの時間、男は家で何してたんだろう。家の壊れたところ直すとか、力仕事とか、とってきた動物を裁くとか、やっぱり働いてたんじやないかしら。子どもとも、遊んだりして。威厳系の父親像のルーツって、どこぐらいからなんだろう。

 

どっちがいい、とかはないだろうけど、ぼくは、威厳系のキャラには向いてなくて、子どもと近づきたいし、カジュアルにおしゃべりしたいし、そもそも、敬ってもらえるようなものも持ってない。狩りもたいしてしてないし。その場合、家事を全くしないと、ただ家でゴロゴロしてて、掃除機ではじかれながら、子どもたちから、パパってなにもしないよねー、と後ろ指さされちゃうのが関の山。

なので、料理のように、ある種のインフラを担うのは、身近な父親系には、いいことなのだろう、きっと。目に見えて役に立ってて、存在感がでる。 そゆことにしとこ。

そして、いまのぼくが憧れるのは、自営業の仕事もやり、全部やってた、ぼくの母になっている。料理して洗濯して、深夜は自営業の電卓をたたいて、そのまま力尽きて寝てる。朝一番に起きて、またキッチンに立つ。いまの自分は、まだまだ足元にもおよばない。

親不幸な息子だったけど、あの母の姿を少しでも見習って、近づいて、子どもたちにその姿の片鱗を、残してあげたい。

 

まだまだ包丁の使い方がぎこちないらしい。トントントン、のあの軽快リズム、できるようになりたい。働く妻を支えるためにでもあるけど、身につくスキルはたとえ妻が実家に帰らせていただきます、になっても活きるという。料理バンザイ。長女が最近、キッチンにきて、何をしてるのー、と作業を興味津々に眺めるようになった。早く一緒になんか作りたいね。