あつあつの焼け石

妻がよる外出するので、子どもたち寝かしつけ。長男はさすがに無問題、長女はつかれて先ねてくれたので、問題は乳離れできてない次女。

 
長男、次女とお風呂にはいって、長男は次女をお世話してくれる。身体拭いたり、おむつはかせたり。歯磨き手伝ったり。次女がうがいのとき、パジャマを濡らしたらしく、次女が「ヌレテル」という。
 
どうしたらいい?と聞くので、ドライヤーあてたら、とアドバイス。ブォーっとやって、長男「これでどう?」かと聞く。「ヌレテル」とまだいう。それでもいっかいブォーっとやっている。
 
手をさしのべず放置してると、ことやりとりを5回ほど繰り返している。いつまでやるのかな。
 
いいかげんしびれきらした長男、「もう大丈夫?」ときくと、うん、となってほっとする。
 
さあ寝ようと寝床にむかう。ここまでご機嫌。よしよし。
 
と、寝床がみえるなりママがいない!と思い出したのかママ~と呼びはじめ、いないと悟ると、布団敷いて寝かしてからはギャンギャン鳴き始める。
こりゃご近所迷惑と窓をしめて、どうしたものかとおもいつつ、さすろうとしても、手をはねのけ、足をばたつかせ、断固拒否。
 
そのありさま焼けた石のごとく、熱くて丸くて、ゴロゴロ動き、触れようとすると油が注がれたかのように激しくなり、ヤケド必至。赤い鬼の姿が背後にみえにけり。
 
みてられないと長男が懐柔試みるもおなじで、もうこりゃだめだとあきらめ、轟音とどろくのを肩を寄せあい、念仏となえ、身を縮めながらだまってねる。こんな轟音でも長男は寝入る。
 
10分くらいで、焼け石のほとぼりさめて、スースーと寝息になって寝顔はあどけなく、いつもの天使になりにけり。
 
父無力なり。
妻が翌日朝、寝床の窓からみえた月が赤かった、とつぶやく。
起きた次女は磁石のようにぺちゃっと妻の胸にはりつく。