「ねぇ、見て」とお茶の間の大きな窓を見上げながら、指差す次女。
「雲が、きれい」
秋らしい綿がちぎれて浮いたようなウロコ雲が青空とともに見えていた。
大きな窓は、子どもたちに空の思い出を作ってくれる。そして感動したら、それを共有できること、お茶の間に一緒にいること。窓があって、一緒にいる時間が家にあるとよい。
夜、テラスのガラスに灯りに惹かれて黒い小さな虫が沢山集まっていることに、階段をのぼる長女が気づく。コオロギやら、名前のしらない殻が硬そうな小さな虫の群れがテラスの床を沢山歩いている。妻は拒絶反応。
「メルつれてきたら、食べるかな」とぼくがきくと、
「食べるやろ」と長女。
「いや、こんな硬い虫食べさせて、いいの?」と息子。
「食べても、あれは口の中にとりあえずいれるだけでさ」と怪訝そう。メルには栄養になるか疑問らしい。それもわからなくもない。
でも、ものはためしで、テラスにメルを連れて放してみたら、それはそれはすごいスピードで、ひとつのこらず口に入れて平らげた。なんて頼もしいんだ。まるで生きたダイソンである。妻が「ありがとう」と感激している。
願わくば、カルシウム?よき栄養になっていることを。
夏休み最後の、長女のためのお弁当は10分で作った。
仕事はひたむきに、好きなことをやって、さらに社会に貢献するということということは、子どもたちには、社会に貢献することを好きになるようにしてあげたらいいのかな。