靴下難儀

保育園にいくから、靴下をはいて〜と次女にお願い。

タンスをあけて、「靴下な〜い」というので、洗濯ものの山から「はい」と渡す。

「それ、お姉ちゃんのでしょ〜」と指摘される。

「ごめんごめん、はい」と次のペアを作って渡す。

「それ、ママのでしょ〜」という。これ、ママのか。アラフォーと2歳の靴下を間違うなんて。

これは確実、という片方を拾って先に渡すと、

「それ、もう一個がないの」

次女の成長と、自分の衰えを感じた朝。

歩いて登園

保育園に送る朝。天気がいいので、長女と次女も、「歩いていく?」と聞くと「うん」というようになった。庭のハナミズキがピンク色の花を咲かせた。抱っこさせて、花の中を覗きたいと長女を持ち上げる。次女も「わたしも」とつづく。

仲良く二人手を繋いで歩いていく。パパも手をつなごうとすると「パパはいい」と次女に断られることがある。かわりに長女とつなごうとすると、これまた次女が「二人でつなぐの」といって拒否されることもある。仕方がないので後からついていく。

崖から這い上がってきた毛虫が道を横切っている。じっと二人でみている。「動いたらどうする?」と次女。「動いとるよ」と長女。

長女は手に持っていたさっき紡いだ小さい赤い花を毛虫の頭の先に置く。

「ここに向かって歩いてくるんじゃない?蜜すうぞ〜」って。ハチじゃないからね、というと「そっか〜」と笑う。「んじゃ毛虫ってなにたべるの?」と聞かれて応えに窮する。

次女、道の真ん中にもかかわらず両手をつないで「な〜べ〜な〜べ〜そ〜こぬけ」の歌を謳いながら、手を離さないで背中側にグルっと裏返るやつをやろうとする。昨日も同じところで長女がやろうといってやっていたのを覚えていたのだろう。

こんな調子なので、保育園まで大人の足だと10分のところ、彼女たちとだと40分くらいかかる。

保育園につくと、長女はほふく前進で教室まで向かいはじめた。「何してるの?」と訊くと「毛虫になってるの」。今朝はそうきたか。何気ない散歩だけど、彼女たちと歩くと驚かされる。

 

おしえられないこと

日曜日の晩。たこ焼きをつくる。

暖かくなってきたので、テラスに使いみちを捜していた丸テーブルを運んだ。外で食べてみよう。西の海に真っ赤な夕焼けがちょうど沈んでいく。長女と次女を膝に乗せながら、酒屋で買った安いワインを飲む。十分贅沢な時間。気持ちいいぞというと、妻も少しだけ便乗する。夕日は、見る見るあっという間に沈む。沈んだ後も、空の色は赤から紫までグラデーションになって、娘たちもみとれている。でもそれもつかの間。どんどん遠い視線の先にある街のビルの人工的な光が目立ちはじめる。それが点滅してみえるようで、次女が「チカチカしてるね〜」とつぶやき、長女はビルのひと、スイッチ入れたり切ったりしてるの?と不思議がる。たぶん、交流電源だからなのだろう。家の電気はずーっとついてるようにみえるけど、遠くなったらそうみえるのかもね〜というけど、そんな下手な説明伝わるはずがない。

長男はサッカーにいっている。そろそろ試合形式のゲームをする時間。ゲームをみるのはたのしい。膝から娘たちを降ろしてむかうことにする。

サッカーコートにつくと、しまった今日はずっとゲームをやる日だったと気づく。息子のプレーをいくつか見逃したんじゃないかと惜しい。

4月から新しい一つ上のクラスになり、みんなむちゃくちゃテクニックもキック力もあって、うまい。息子のようにここと学校の昼休みだけのやつと、毎日スクールにかよったり父ちゃんに鍛えられる練習してるであろう子との差は歴然としてきている。

息子は、攻める花形ポジションはもう自分より上手いやつがいることは認識しているそうで、ディフェンダーの位置に陣取っている。攻めてくるやつのボールをとることで、少しは自分を出せるとおもってるのかもしれない。自分の今の身の丈をみきわめながら、楽しめる、価値の出るポジションを考えているようだ。たしかに相手の動きを読んで、いい場所にいることがたまにある。

最後、息子がカットしたボールをそのまま前のフォワードに真っ直ぐパス。フォワードもちゃんとゴールして、ゲームがおわる。練習が終わって、ナイスプレイだなと褒めたら「おれ、点はとれなくても、あの位置がいいわ」と納得しているようす。

こないだ、プノンペンで会った日本人のプロサッカー選手の友廣さんも、センターバックといって、今日お前がやってることと同じポジションなんだよというと、「そうなん!?」とうれしそう。今度、友廣さんのプレー見に行こう。

帰り道はブレーブボードに乗ってスイスイ進んでいる。どうしてこれに乗れるのか、オッサンはいまいちわからない。

「そういえば、今頃気づいたけど、星がきれいだね」ふと、息子が空を見上げながらつぶやく。たしかに今日は雲が少ない。

娘たちの夕日、息子の星空、それを綺麗だと感じることは、親は言葉じゃ教えられない。それを自然に心地よいものとして言葉が口からでるのを聞いて、この丘の上に家を建ててよかったと思う。

 

 

 

寝る前の質問

寝床にいくまえに洗濯機をまわしてる横で長女が「ねぇパパ、ほくろって、黒いこんな丸で、顔に埋まってるの?」と。3Dの黒い玉。庭の石のように。そんな気もしてきた。いちおう、たぶん、平べったいんじゃないかなと伝えるけど、確実に3Dのほうか、夢がある。こないだは枕元で年令を答えたあとに、「ねぇパパ、なんで数字ってあるの?」と聞かれ、追い詰められ、寝れなくなった。

勝てない、こいつには。

orの正しい使い方

長女が妻の髪の毛を結ってあげている。「パパ、ママの髪、カワイイかカワイイ、どっち?」と聞いてくる。ニコニコした表情からしてウケ狙いではなく、素でそういっている。新しい誘導尋問。すごいなぁ、子どもって。そんなの思いつかんもんなぁ。

風のせい

昨日はとても風が強かった。息子は学校で50m測定があるそうだ。こないだもあったから2回目。前回より速くなるといいなと話をしながら、追い風と向かい風の説明をしてやる。

帰宅して、どうだった?と聞いたら「前よりも遅かった」。あら少し残念。なんで?と聞くと「だって、向かい風だったからさ」とさらっという。向かい風は悔しさとかもさらっていくらしい。約1秒おそくなったとか。妻とほんとうに向かい風のせいか疑う。

「でも前回一番早かったやつも、今回1秒くらい遅くなってた」と主張、みんな遅くなったし、向かい風だったということで一応おさまる。真ん中くらいの速さらしい。

見立て

夕食ができあがるまで次女と遊ぶ。ぼくの椅子の膝の上に座らせてお絵かき。鉛筆三本を手にしながら、長い鉛筆をお父さん、中くらいをお兄さん、一番短いのを赤ちゃんと読んで描くことよりも人形ごっこになっている。テーブルから落としたら「お父さん、捜してきて〜」など。なるほどだんだん家族に見えてくる。鉛筆としては、一番短いのが長老だけど。

こないだ、ひさしぶりに眼鏡を変えたら「パバ、めがね2つ持ってるの?」ときいてきた。